黄精(オウセイ)

黄精の基原植物名はナルコユリといい、ユリ科の多年草です。
中医学では、黄精は神農本草経や名医別録などでの生薬分類法で上品薬として分類されています。(※上品薬とは無毒で長期服用ができ、身体を軽くして元気を益す働きがある不老長寿の薬です)。

そのため、古くから体力増進、滋養強壮のために用いられており、特に病後の衰弱者や慢性病、痛風などの体の弱っている時の栄養サポートとして注目を浴びています。
日本の民間では江戸時代に滋養・強精用の漢方としてブームとなり、砂糖漬けにした黄精が売られていました。現在でも東北地方には黄精のエキスを入れた黄精飴が売られています。
黄精に砂糖を加え、焼酎につけたものを黄精酒といい、精力減退や病後回復の滋養・強壮漢方として知られています。俳句の代表者小林一茶も黄精酒(黄精に砂糖を加え、焼酎につけたもの)を愛飲したと書き記しています。現在でも種々の強壮ドリンクに配合されています。

中医学的機能性と作用
黄精は中国で古来、滋養強壮薬として食欲不振、口渇、多汗、多尿、便秘、乾咳、腰や膝がだるく無力、頭のふらつきなどに用いられていました。
性味:甘、平 
帰経:脾、肺、腎
神農本草経:上品薬、補陰薬
効能効果:潤肺滋陰(肺を潤し、陰液を滋養し、乾燥を防ぐ)
     補脾益気(胃腸の働きを整えて元気にする(生命活動の根源的なエネルギー))
 薬理作用:
1.抗菌、抗ウィルス、疲労回復作用
2.免疫力を高め、DNSとタンパク質の合成を促進する作用
3.止血作用
4.血糖値、血圧、血中脂肪を下げる作用があり、冠状動脈の血流をよくし、心臓の働きを高め、心筋梗塞を防ぐ作用 
  

芍薬(シャクヤク)

芍薬は、ボタン科の多年草です。古くに中国から日本に渡来し、漢方的には、補血、止痛の効能があり、血虚(血の不足状態)、腹痛、筋肉痛、痙攣痛などに用いられます。

昔、美人にたとえとして、「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」ということわざがありました。芍薬、牡丹、百合はすべて婦人病用の漢方です。また、芍薬や牡丹を漢方として服用すれば,女性ホルモン分泌を整え、肌も美しく艶やかになると言われています。

漢方の古典神農本草経の記載によると、芍薬は刺すような痛みをとり、また発作性の痛みをとり、利尿の効き目があって、神経の安定によいという記述があります。
芍薬は漢方の要薬であり、婦人薬として利用度が最も高く、特に多くの女性のお悩みの冷え性、月経不順、産後の疲労回復によい漢方として用いられております。また、筋肉の痙攣(けいれん)からくるひきつけを和らげ、腹痛、疼痛、下痢などに用います。すなわち、芍薬はお腹や手足の筋肉の緊張を和らげ、痛みを止めたり、痙攣、炎症を抑えたり、血管を拡張し、血のめぐりをよくしたり、血圧を下げる作用があり、頭痛、腹痛、神経痛などに鎮痛鎮痙剤として応用されています。

漢方や中国医学では芍薬を白芍(主として皮去り)と赤芍(主として皮付き)と分けて、白芍は滋養補血、鎮痙・鎮痛、他の生薬を配合して月経調節、胃痙攣の疼痛、慢性胃炎、肝臓疾患、リウマチ性関節炎などに用いる、赤芍は浄血解毒の効能があり、他の生薬を配合して婦人科系疾患、打撲傷などの内出血、神経痛などに用いられます。

中医学的機能性と作用
性味:苦、酸、微寒  
帰経:肝、脾
効能効果:養血調経(血を作り出し、月経を整える)
     斂陰止汗(陰を収斂し、汗を止める)
     柔肝止痛(肝臓機能を高める肝血を補い、肝気を伸びやかにし回復させる、痛みを和らげる)     
     平抑肝陽(不規則な食生活やストレスなどによる肝陽上亢(のぼせ•めまい・頭痛など)による強度の睡眠障害、煩躁、驚きやすい、痙れんなどを鎮めて抑える)
薬理作用
1. 冠状動脈を拡張し、血圧を下げる作用
2. 貪食細胞の貪食機能を強化し、急性炎症浮腫みを抑制する作用があり、免疫機能を正常に保つ
3. 鎮痛作用
4. 痙攣を緩和する作用

当帰(トウキ)

当帰の別名はオニノダケといい、セリ科の多年草で、全草に特異な甘い芳香があります。
中国の民話には、トウキ(当帰)の名の由来は、次のような話があります。

妻が婦人病になったために、夫は家に帰らなくなり妻から離れていきました。妻は早く病を治さねばと思い、トウキ(当帰)を飲んだところ、元気になりました。そこで、妻は「夫よ、まさ(当)に我がもとに帰るべし」と言ったのが当帰(トウキ)の名前の由来とされています。まさに体調不良の人に与えると回復して健康に帰る「当に帰る」との意味がぴったりになります。
当帰は、乾燥を改善し、血行をよくするほか、ホルモンのバランスをよくする働きもあり、便秘や関節の痛みの改善にもよいと言われています。

中医学的機能性と作用
性味:甘、辛、温
帰経:肝、心、脾経
効能効果:補血活血(血の不足を補って、血行を良くして体中に栄養分が運ばれる)
     調経止痛(月経を整える、生理不順、生理痛を改善する)
     潤腸通便(腸を潤して排便をよくする)
薬理作用:
1. 免疫賦活作用
2. 血小板凝集阻害作用
3. 抗アレルギー作用
4. 抗炎症作用
5.抗腫瘍作用

茯苓(ブクリョウ)

茯苓はサルノコシカケ科のきのこで、マツなどの根に寄生します。菌核の外層をほとんど取り除いたものを茯苓と呼び、食用・薬用に利用されています。

漢時代の「金匱要略」の記載によると、湿証向けの胃薬です。尿の出をよくして体内に滞った過剰な水分を取り除き、胃腸の働きを助け、精神の安定をはかります。臨床応用としては、茯苓の利水作用を活かして、水分代謝の障害によるむくみや小便の出が悪いなどの症状に用いられます。
つまり、胃腸の働きを促進して、食欲不振、消化不良、浮腫みなどの改善や、精神を安定させるなどの働きある漢方としてしられています。

中医学的機能性と作用
性味:甘、淡、平
帰経:心、脾、腎経
効能効果:利水滲湿(体内に溜まった余分な水分を利尿作用によって排泄させる)
健脾安神(消化吸収機能を高め、驚悸、不眠の精神不安を無くし、気持ちを穏やかに保つこと)
薬理作用:
1. 利尿、鎮静、抗腫瘍作用
2. 強心作用
3. 免疫増強作用
4. 肝臓保護、老化防止、抗炎症作用

党参(トウジン)

党参は、キキョウ科のつる性多年草です。
また、党参は人参と同じような補益作用があるので、中国では人参の代用品とされています。

「本草綱目拾遺」の記載によると、補中益気(胃腸の消化・吸収機能を整えて「気(元気•エネルギー)」を生み出し、病気に対する抵抗力を高める),生津養血(津液(水)を増やし、のどなどの渇きを改善して血を養う)の働きあるため、生命力を増しストレスへの適応を高める体に優しい滋養強壮薬として中国医学の中心に位置し、古くから用いられています。特に、病後や身体の弱った方の強壮薬として,食欲不振,疲労倦怠,咳嗽,口渇などによく用いられ薬食両用(医食同源)の漢方です。

中医学的機能性と作用
性味:甘、平
帰経:肺、脾経
効能効果:補脾益肺(弱った消化器官の働きを強化し、消化、吸収、代謝機能を高め、呼吸機能をサポートする
     養血生津(血の質•巡りを良くして、体内の正常な水分と体液が消耗したとき、これを正常にもどす働き)
注:脾は中医学において食べ物や飲み物を摂ることを通じて気、血・津液を生みだす中心的な臓です。脾でつくられた気や津液は心(しん)や肺に送られ、全身に広がってゆきます。脾は他にも血が脈外に出ないように(出血しないように)しっかりと保持したり、口や手足、そして肌肉(きにく)の動きや機能を支えています。
西洋医学的な「脾臓」には免疫機能や古くなった血液を破棄する役割があります。中医学で考えられている脾とは大きくはたらきが異なることになります。
薬理作用:
1. 抗炎症作用
2. 認知症改善作用
3. 免疫増進作用
4. 赤血球を増加させる作用

白花蛇舌草(ハッカジャセツソウ)

白花蛇舌草は、アカネ科の一年草で、白い花と蛇の舌のような形状の葉をもつため、中国では白花蛇舌草と呼ばれています。最近では細胞性免疫を強化するほか、各種のがん病、尿路感染、盲腸炎、急性慢性気管支炎や毒蛇のかみ傷に用いられています。

白花蛇舌草にはウルソール酸やオレアノール酸などの五環系トリテルペノイドなどの成分による抗炎症や抗腫瘍の働きが注目され、さまざまな研究が進んでいます。また、漢方の清熱解毒薬として肺炎や虫垂炎や尿路感染症など炎症性疾患に用いられています。そのほか、風湿による痺痛、筋脈のひきつり、口や目のゆがみ、身体の麻痺、脳卒中後遺症の半身不随、癩病、たむし、皮膚掻痒などの風病に用いるほか、がん治療において、半枝連を併用すると良い事が知られています。

中医学的機能性と作用
性味:微苦、甘、寒
帰経:胃、大腸、小腸経
効能効果:清熱解毒(身体に悪い影響をもたらす病原菌やウイルスなどを除去し、発赤、腫脹、化膿などの熱を冷ます)
     利湿通淋(体内の余分な水分を排出させ、下腹の疼痛、排尿困難、排尿痛などの泌尿系の症状を緩和する)
薬理作用:
1. 抗腫瘍作用
2. 抗菌作用
3. 抗炎症作用
4. 肝臓の解毒や免疫力を高める作用

女貞子(ジョティシ)

女貞子は、モクセイ科の常緑小高木です。中国では目がかすむなど、抗菌、熱さましに用いるほか、腹部の不快感を軽減するにも良い植物とされています。

女貞子は強心、利尿、緩下、強壮薬として古くから用いられるほか、肝臓、腎臓、腰、膝を強くする働きがあるので、足腰の筋力低下改善、目の疲れやかすみ目など、目のトラブルの改善によいと言われています。特にお肌や髪をつややかにしたり、白髪の改善にもよいほか、ほてりを冷ます働きもあり、微熱やほてりを取るほか、腰・膝のだるさや滋養強壮や女性の月経困難にも作用があります。身体にうるおいを補給し、老化防止の薬食両用の漢方です。

中医学的機能性と作用
性味:甘、苦、平
帰経:肝、腎経
効能効果:
1. 肝腎陰虚(肝血が不足による腎の栄養供給が傷害され、腎陰虚(腎陰の不足)を招く状態を改善する)
2. 内熱消渇(陽気が相対的に過剰となり体内に熱が生じてしまい、その熱のために口渇がひどく多量の水を飲んでも、体内でその水が消えてなくなる、すなわち尿量が少なくなることで現在の脱水状態を改善する)
3. 眩暈耳鳴、腰、膝の重だるい
薬理作用:
1. 免疫調整、抗酸化作用
2.血糖値や血中脂肪(中性脂肪)を下げ、抗血小板凝集、抗血栓の働きがある
3.抗炎症作用、抗ウイルス、抗菌作用
4.肝臓保護作用
5.足腰の筋力低下を改善する作用
6.白内障予防する作用
7.耳鳴り、老年性便秘改善作用

紫蘇葉(シソヨウ)

紫蘇葉は、シソ科に属し植物全体に高い香りがあり、β-カロテンやビタミン類、ミネラル類を豊富に含んでいる栄養価の高い漢方です。

紫蘇葉には香り成分であるペリルアルデヒドが含まれているので、強い抗菌、防腐作用があり、食中毒の予防によいです。また、嗅覚の神経を刺激することで、胃酸の分泌が促され、食欲が増進し、便秘や気分のもやもやを取り去り、食欲不振、消化不良によいとされています。

中医学的機能性と作用
性味:辛、温
帰経:脾、肺経
効能効果:解表散寒(風寒の邪を体表から疏散(発散)させる)
     行気和胃(気滞を行散し、胸、 腹の脹悶や疼痛を改善して消化機能をよくする)
薬理作用:
1. 免疫力、消化力を高める作用
2. 食欲増進する作用
3. 抗菌、解熱作用
4. 気管支痙攣を和らげる作用
5. 目の健康に働きかける作用
6. アレルギー症状を軽減する作用
7. 血糖の上昇を抑制する作用
8. 疲労回復、ストレスを和らげる作用

蒲公英(タンポポ)

蒲公英(ホコウエイ)は、キク科の多年草です。ニキビやおできによい天然の抗生物質と言われています。中国やヨーロッパなどでは、習慣性の便秘や消化不良によいと言われ、そのほか、母乳の出をよくする、胃の調子をよくする、かぜによる熱をさげる、病後の滋養強壮にもよいなどの多種多様の目的で広く用いられています。

漢方では、蒲公英は免疫を高める、消炎(炎症の改善)、健胃(消化不良を改善)、解毒(デトックス)、解熱、利尿(植物の中のカリウムの利尿作用により、排泄器疾患や体液の滞留を治す)、発汗、滋養強壮の作用があり、催乳にもよい薬草として使用されています。そのほか、切り傷、イボとりなどの外用薬としても使われています。

中医学的機能性と作用
性味:苦、甘、寒
帰経:肝、胃経
効能効果:清熱解毒(身体に悪い影響をもたらす病原菌やウイルスなどを除去し、発赤、腫れ、化膿などの熱を冷ます)
     消腫散結(腫れものやむくみを消し、固くなったできものをやわらかくして取り除く)
     利湿通淋(体内の余分な水分を排出させ、下腹の疼痛、排尿困難、排尿痛などの泌尿系の症状を緩和する)
薬理作用:
1. 免疫を高め、腫瘍を抑制する作用
2. のどかぜの初期の発熱、のどの腫れと痛みをやわらげる作用
3. 化膿性皮膚炎、おでき、ニキビ、ものもらいなどの
化膿を伴う炎症を緩和する作用
3.膀胱炎、脳炎を緩和する作用
4.消化不良、胃炎、便秘、肝炎、胆嚢炎を緩和し消化力を高める作用

甘草(カンゾウ)

甘草は、マメ科の多年草草木です。薬用植物として世界中で利用されており、「生薬の王」とも称されていて、古くから息苦しさの防止、解毒、のどの痛み止め、痰をなくす、炎症を抑え、神経痛の痛みを和らげなどによいとされています。

漢方では、甘草は漢方薬で一番よく使われる薬草なのです。鎮痛、抗炎症、胃痛、鎮咳去痰、解毒、十二指腸潰瘍などによいほか、利尿、腹痛、下痢、動悸、腫れ物などにも用いられています。そのほか、諸薬を調和し、諸種の毒を解するといわれ、処方のまとめ役として使われます。作用の強すぎる薬と一緒に用いるとその毒性は緩やかになり、緩やかな作用の薬と一緒にするとその薬力が高めるというのですから、とても重宝な薬草です。
また、甘草の主成分であるグリチルリチンは、胃液分泌抑制、消化器潰瘍の治癒促進、肝機能障害やアレルギーに有効とされています。そのほか、脂溶性成分のグラブリジンは、抗菌作用や抗酸化作用とともに、メラニン(黒色色素)生成を促すチロシナーゼの阻害作用の薬理作用がみとめられていることから、美白効果を期待して化粧品等に使用されています。

中医学的機能性と作用
性味:甘、平
帰経:心、肺、脾、胃経
効能効果:清熱解毒(身体に悪い影響をもたらす病原菌やウイルスなどを除去し、発赤、腫れ、化膿などの熱を冷ます)
     補脾益気(消化器系全般の機能をよくし、気血を生み出し病気に対する抵抗力を高める)
     去痰止咳( 咳を止め、痰を解消する)
     緩急止痛(急症を緩和し、痛みを止める)
     調和諸薬(諸薬を調和する)
薬理作用:
1.活性酸素を除去する作用
2.免疫機能を高める作用
3.肝機能を高める作用
4.アレルギーを抑制する作用
5.ストレスをやわらげる作用
6.ホルモンバランスを整える作用

蜂蜜(ハチミツ)

蜂蜜はビタミンやミネラルが多く、特に含まれるグルコン酸には、殺菌作用があるほかからだを温め、消化吸収の機能を高める働きがあるので、体力増強、かぜをひきにくくなる、他の薬と調和するにもよいとされます。

中医学的機能性と作用
性味:甘、平
帰経:肺、脾、大腸経
効能効果:補中(胃腸の消化、吸収機能を整える)
     潤燥(熱邪による滋養や水分の消耗で生じた肺胃の津液不足(乾燥)を改善し潤す)
     止痛(痛みを緩和する)
     解毒(身体に悪い影響をもたらす病原菌やウイルスなどを除去する)
薬理作用:
1.活性酸素を除去する作用
2.免疫機能を高める作用
3.肝機能を高める作用
4.疲労回復効果